映画と映画の音楽  by  M・I

音楽を気にしながら映画を観る、そんな雑感

2015-12-23から1日間の記事一覧

2012.7.18「苦役列車」 丸の内TOEI 

2012.7.18「苦役列車」 丸の内TOEI 久々の青春一途映画。村上春樹だけが青春ではない!真っ直ぐだ。 金無い、友無い、女無い。青春なんて程度の差こそあれ、みんなそうだ。そんな日本の端っこの青春。原作は西村賢太。主人公の名前は寛多。こい…

2012.6.20「愛と誠」有楽町角川シネマ

2012.6.20「愛と誠」有楽町角川シネマ 色んな映画があって良い。色んな見方があってよい。いつ頃から私の見方はもっとも一般的当たり前な見方、つまりハリウッド的 (言葉の壁を超えて世界中誰が見ても面白いと思う) になってしまったのか。若い頃な…

2012.5.29「ミッドナイト イン パリ」 丸の内ピカデリー 

2012.5.29「ミッドナイト イン パリ」 丸の内ピカデリー 久々のウディ・アレン。私小説的スタイルは変わらず。この人いつも等身大の自分を変にドラマとして作り込まずストレートに描いて、しかもシャレたエンタテイメントになっている。但し虚構と…

2012.5.28「わが母の記」 丸の内ピカデリー  

2012.5.28「わが母の記」 丸の内ピカデリー 井上靖と母の関係を長きに渡って描いた、井上家の物語。 冒頭、湯ヶ島のわさび田が出てきて、それだけで引き込まれた。カメラがとっても良い。この映画の格調は撮影に負うところ大である。 話は1950年代…

2012.5.7「テルマエ・ロマエ」シャンテ 

2012.5.7「テルマエ・ロマエ」シャンテ 漫画が原作とのこと。 ローマ時代のTELEMAE(風呂)設計技師がタイムスリップして現代の日本に来て、そこで学んだ風呂のあれこれをローマ時代に再現して大うけし、皇帝にも重用されるという話。たわいが…

2012.3.19「タイム」シャンテ 

2012.3.19「タイム」シャンテ 時間を電子マネーにしたような話。支配層が時間を管理していて、下層階級は25歳を過ぎると僅かな時間しか与えられず、生き延びたければ必死に時間を溜めねばならない。発想は面白い。しかし社員食堂での支払いが30…

2012.3.5「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」丸の内ピカでリー 

2012.3.5「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」丸の内ピカでリー 9.11ネタは10年を経て、ようやく客観化出来るようになったというべきか。 父親のトム・ハンクスがWTCビルの犠牲となり、残された息子が、父親の残した鍵を頼りに、父親…

2012.2.28「おとなのけんか」シャンテ  

2012.2.28「おとなのけんか」シャンテ ポランスキーは自信があったのだろう。頭とお尻にロングで子供たちが公園で遊ぶ姿、それ以外はすべてNY中流のアパート、一室ではないが、リビング、台所、風呂、入り口、廊下、全てその中、出演者は四人だけ…

2012.2.27「キツツキと雨」角川シネマ有楽町

2012.2.27「キツツキと雨」角川シネマ有楽町 何かとっても嬉しい映画だった。 ひ弱な、ヨーイスタート!も小声でしか言えない新米監督が木こり(林業)の男と出会い、しっかりと大声で、ヨーイスタート!と言えるようになるまでの話。殺人も病気も…

2012.2.15「灼熱の魂」シャンテ   

2012.2.15「灼熱の魂」シャンテ 見ている間中、ほとんど息が出来なかった。 中東のどこか、 キリスト教徒とイスラムの憎悪の応酬の中で信じられない一生を送った女、その女ナワルが残した遺書に従い二人の子供が母の過去を遡る。一通の遺書には「父…

2012.1.26「源氏物語 千年の恋」日劇マリオン

2012.1.26「源氏物語 千年の恋」日劇マリオン 監督・鶴橋康夫。期待していなかったが、その通りつまらなかった。 紫式部が「源氏」を書いたわけと、源氏のストーリーをWらせて、原作はきっと面白いのだと思う。高山由紀子自身がシナリオにも参加し…

2012.1.14「サラの鍵」新宿武蔵野館

2012.1.14「サラの鍵」新宿武蔵野館 下着まで星のマークを縫い付けられたユダヤ人、その迫害は決してナチだけではなく、フランス人自身の手によってもなされていた。ビシー政府ペダン将軍によるユダヤ人迫害が語られる。ペダン政権弾劾の話かと思っ…

2012.1.14「幕末太陽傳デジタルリマスター版」テアトル新宿 

2012.1.14「幕末太陽傳デジタルリマスター版」テアトル新宿 何十年ぶりかの再会。やっぱり面白かった。 頭から黛敏郎のデキシーである。御殿山の脇に栄えた北品川特飲街。そこの幕末の物語。 高杉晋作始め勤皇の志士がたむろする遊郭。そこに現れる…

2012.1.13 「山本五十六」 丸の内TOEI 

2012.1.13 「山本五十六」 丸の内TOEI 今年初めての映画がこれ。小滝プロデューサー、脚本・長谷川康夫、飯田健三郎、お馴染み小滝さん子飼いチームに、監督・成島出。こういう戦争歴史物撮れるのか、そんな心配を抱きつつ見たらちゃんとしていた。原…

2011.10.21「エンディングノート」新宿ピカデリー 

2011.10.21「エンディングノート」新宿ピカデリー 自分の父親の死をづっと録り続けたドキュメント。 是枝監督のアシスタントをやっていた女性が監督で、なるほどテレビマンユニオンの伝統がこんな形で受け継がれているか… 何かというとビデオを回…

2011.9.15「ゴーストライター」 ヒューマックス有楽町 

2011.9.15「ゴーストライター」 ヒューマックス有楽町 ポランスキーである。渋い。円熟。上手い。余裕である。 やめたばかりのイギリス首相の自叙伝のゴーストライターを依頼されるイアン・マクレガー。前任者は不審な死をとげている。アメリカの人…

2011.7.25「小川の辺」 丸の内東映 

2011.7.25「小川の辺」 丸の内東映 ド頭、家老の部屋に入ろうと襖を開ける主人公の腰から下のアップ、それに被って“戌井∖朔之助でございます”この東山紀之の台詞の軽さ、ノッケからダメ!だった。台詞の、輪郭がダメ、音圧がダメ、声量がダメ。ここ…

2011.7.22「大鹿村騒動記」丸の内TOEI 

2011.7.22「大鹿村騒動記」丸の内TOEI 原田芳雄の遺作となってしまった。TVで見た舞台挨拶での激痩せした車椅子姿の衝撃、それからまもなくしての死去。去年の秋あたりに撮ったよう。まだあんなに痩せてはいなかった。しかし死は意識していたの…

2011.7.13「のぼうの城」東京現像所

2011.7.13「のぼうの城」東京現像所 2万の敵に2,000で対抗して落ちなかった本当の話だそうである。その城の城主・のぼう様は、柔よく剛を制すの典型。部下の剛の者はじめ百姓からも“のぼうのぼう”と馬鹿にされつつ愛され、みんなを纏め、水攻めを…

2011.6.30「デンデラ」 丸の内TOEI  

2011.6.30「デンデラ」 丸の内TOEI 「楢山節考」のその後、捨てられた老婆たちは、どっこい生きていた、という話。浅丘ルリ子を始め迫力ある女優たちが雪山を凄い形相で歩く予告編に、さぞ力強く、明るく、バイタルで、荒唐無稽の話を期待した…

2011.6.24「あぜ道のダンディ」 テアトル新宿 

2011.6.24「あぜ道のダンディ」 テアトル新宿 光石研、田口トモロウ、名脇役二人の主演、前に進むも後ろへ引くもままならない50歳おっさんコンビの、無理して突っ張リズムの話。 光石は愛する妻に先立たれ、娘息子が大学受験。田口は長く父親を介護…

2011.6.23「さや侍」丸の内ピカデリー  

2011.6.23「さや侍」丸の内ピカデリー 松本人志、脚本監督。 ダウンタウンの「ガキの使い」のスケールアップ版。 “30日の行”、笑わない若殿を30日以内に笑わせなかったら切腹という設定に、刀を捨てたさや侍とそのしっかり者の娘が見張り番二人の力…

2011.6.22「軽蔑」角川シネマ新宿

2011.6.22「軽蔑」角川シネマ新宿 破滅に一直線に向かうラブストーリー。懐かしい70年代の香り。それもそのはず。中上健二の遺作だそうな。チンピラの高良健吾とボールダンサーの鈴木杏。舞台は新宿、そこを逃亡して高良の故郷へ。そこと新宿を行っ…

2011.6.17 「奇跡」スバル座 

2011.6.17 「奇跡」スバル座 なんと子供が生き生きとしていることか。 JR東日本の、九州新幹線全線開通を記念した企画。JRもシャレたことをする。それをしっかりと自分の映画にした是枝監督が大したもの。 母と一緒に鹿児島、父と一緒に福岡に住む…

2011.6.13「パラダイスキッス」丸の内ルーブル 

2011.6.13「パラダイスキッス」丸の内ルーブル 思ったより良かった。 ワーナーマークから続くアバンタイトル、TOKYO(少しNYも?)の空撮のコラージュ、そこに被る英語のクレジット、一瞬外国映画かと思った。中々シャレてるじゃん、新城さん。こんな…

2011.6.13「テンペスト」シャンテ 

2011.6.13「テンペスト」シャンテ シェイクスピアの「テンペスト」の映画化。 予告のヘレン・ミレンが素敵で、予告の中世ルネッサンス風のアカペラの歌が素敵だったので。 でもやっぱり芝居の映画化の感は免れなかった。朗々とした台詞の字幕は、読…

2011.6.9 「ブッダ」丸の内東映

2011.6.9 「ブッダ」丸の内東映 手塚治虫の原作のアニメ化。元の漫画があるから仕方ないが、何でこの題材をアニメでやるのかという根本的疑問がまずある。 釈迦が生まれ、悩み、国を捨て、旅立つまでの話。ハリウッドでいえば「バイブル」「聖衣」 …

2011.6.7 「クロエ」 シャンテ  

2011.6.7 「クロエ」 シャンテ ひとつ間違えると安っぽい昼メロになるところをそれなりにゴージャスなセミエロティックサスペンスに纏めたのはハリウッドの力か。 何不自由ない中年のジュリアン・ムーアが夫の浮気を疑い、娼婦に誘惑を依頼、夫を試…

2011.6.2 「ブラックスワン」日劇マリオン  

2011.6.2 「ブラックスワン」日劇マリオン この手、あまり得意ではありません。 サイコホラー音楽映画。ナタリー・ポートマンは見事なバレーダンサーを演じて驚嘆。役柄に肉体を合わせて完璧。カメラも長回しでダンスシーンを捉えて文句の付けような…

2011.6.1 「マイバックページ」丸の内東映

2011.6.1 「マイバックページ」丸の内東映 朝日の駆け出し記者だった頃の、川本三郎の自伝の映画化。 過激派にシンパシーを持ちつつ、学生時代も今もいつも傍観者でいることの後ろめたさを抱えた妻夫木聡・川本が、赤報隊・松山ケンイチに接近、独占…