映画と映画の音楽  by  M・I

音楽を気にしながら映画を観る、そんな雑感

邦画

2021.05.13 「街の上で」 ユーロスペース

2021.05.13「街の上で」ユーロスペース 浮気した彼女から別れ話を切り出されても、別れたくないと食い下がる、古着屋で働く荒川青 (若葉竜也) 。舞台は下北沢、「愛がなんだ」(2019 監督.今泉力哉) のナカハラ君を継承するこの主人公と、彼を巡る四人の女。…

2021.03.02「すばらしき世界」新宿ピカデリー

2021.03.02「すばらしき世界」新宿ピカデリー ワーナーマークからオフでリバーブの効いた足音の様な音が薄く入る。刑務所の中を魂が彷徨っているようだ。もちろん後付けの理屈。見ている時はノッケから何だろう? だった。ただ孤独感はひしひしと伝わ…

2020.7.03「花のあとさき ムツばあさんの歩いた道」シネスイッチ銀座

2020.07.03 「花のあとさき ムツばあさんの歩いた道」シネスイッチ銀座 秩父市吉田太田部楢尾、群馬との県境、山の急斜面にへばりつく様に立つ今は住む者もいない10件たらずの民家、炭焼きと養蚕を生業とし、かつては100人からの人が住んでいた。それらが衰…

2019.11.28 「蜜蜂と遠雷」日比谷TOHOシネマズ

2019.11.28 「蜜蜂と遠雷」日比谷TOHOシネマズ 母と幼い娘が連弾をしている。クラシックの良く聴くピアノ曲 (曲名が出てこない) 、母が主旋律を弾き、娘が高音域で自由に戯れる。リバーブを一杯に効かせた高音が雨音に重なる。雨の雫のスローモー…

2019.10.09「宮本から君へ」新宿バルト9

2019.10.09「宮本から君へ」新宿バルト9 原作漫画、TVとも未見、どんな話かも知らず。ただこの監督の前作「ディストラクション・ベイビーズ」(拙ブログ2016.6.08) のバイオレンスがとっても印象に残っているので、そっち系かなとは思った。案の定…

2019.9.02「火口のふたり」新宿武蔵野館

2019.9.02「火口のふたり」新宿武蔵野館 火口とは女陰のことである。そこには生命の神秘がある。そこから命が生まれる。死が隠れている。そして宇宙に繋がっている。日常の中にパックリと開いた非日常、宇宙への入口。けれどそのことに普段は気が付…

2019.9.26「ある船頭の話」新宿武蔵野館

2019.9.26「ある船頭の話」新宿武蔵野館 オダギリジョウ、初監督作品。脚本もオリジナルで自ら執筆。長い間あたためていたという。オダギリがこういうテーマに関心を持っていたことに意外な気がする。 話は近代化の波が地方へも押し寄せた明治の終…

2019.9.04「引っ越し大名」池袋グランドシネマサンシャイン

2019.9.04「引っ越し大名」池袋グランドシネマサンシャイン チャンバラではない、武士の大義とかでもない、武士の生活を描く時代劇が登場したのは、いつ頃からだろうか。多分「武士の家計簿」(2010 監督.森田芳光) が始まりか。次に「武士の献立」(…

2019.8.29 「ダンス ウィズ ミー」TOHOシネマズ日比谷

2019.8.29 「ダンス ウィズ ミー」TOHOシネマズ日比谷 ミュージカルは嫌いだ。でもこの映画、僕のイメージするミュージカル映画ではない。懐メロ歌謡コメディ、さらにはロードムービーだ。だから僕は大好きだ。 冒頭、近代的高層ビルのオフィス、そ…

2019. 7. 20 「狙撃」(1968) 京橋フィルムセンター

2019.7.20 「狙撃」(1968) 京橋フィルムセンター 2018年に物故した映画人を追悼する上映会が京橋フィルムセンターで7~8月と行われている。その中のプロデューサー・貝山知弘さん追悼の「狙撃」(1968) を観た。 貝山さんは映画プロデューサーであると…

2019.6.20 「泣くな赤鬼」新宿バルト9

2019.6.20 「泣くな赤鬼」新宿バルト9 高校野球の監督(堤真一)と教え子ゴルゴ (柳楽優弥)、ゴルゴは妻 (川栄李奈) と幼い子供を残して癌で死ぬ。典型的な泣ける映画である。今だったらパワハラで訴えられる様な、かつてシゴキと言われた一歩手前の…

2019.7.17「愛がなんだ」テアトル新宿

2019.7.17「愛がなんだ」テアトル新宿 「旅のおわり世界のはじまり」があまりに肩透かしの薄味だったので、続けて同じテアトル新宿で「愛がなんだ」を観てしまった。何とこちらも薄味、というか今時アラサー女の恋愛事情、僕には全く感じるものが無か…

2019.7.17「旅のおわり世界のはじまり」テアトル新宿

2019.7.17「旅のおわり世界のはじまり」テアトル新宿 随分、壮大且つ大仰意味深なタイトルである。しかも監督は黒沢清、きっと人間存在の核に触れるような物語に違いない。 初めにウズベキスタンという僕らにとっては未知なる国がある。そこに前田敦子…

2019.7.26 「凪待ち」日比谷シャンテ

2019.7.26 「凪待ち」日比谷シャンテ 白石和彌らしい映画、ほっとした。「麻雀放浪記2020」(拙ブログ2019.5.07 )ではどうなってしまったのか心配した。本来の姿に戻ってくれた。 主演は香取慎吾、圧巻である。 冒頭、印刷工場をリストラされた郁男 (…

2019.6.25 「町田くんの世界」丸の内ピカデリー

2019.6.25 「町田くんの世界」丸の内ピカデリー 少女マンガが原作らしい。予備知識全く無く観た。 冒頭、LPレコードに針が落とされるドUP、レコードのジャケットには〇○○(?) とアルファベット、賑やかな音楽が流れ (これはオリジナルそれとも既成曲…

2019.6.03 「コンフィデンスマンJP」 TOHOシネマズ新宿

2019.6.03「コンフィデンスマンJP」TOHOシネマズ新宿 TVドラマの映画化であることを全く知らず、最近輝きだした長澤まさみへの興味から観た。そして「スティング」や「オーシャンズ11」の様なコンゲーム物、邦画では無理なんじゃないかなぁと思いつつ… 結論…

2019.5.06 「岬の兄妹」 イオンシネマ板橋

2019.5.06「岬の兄妹」イオンシネマ板橋 兄・良夫 (松浦祐也) は足が不自由、妹・真理子 (和田光沙) は知的傷害、そんな兄妹の底辺の生活。母はどこか遠くへ逃げてしまったらしい。ボロ家は段ボールで窓をふさぎ外から遮断されている。兄が働きに出…

2019.5.07 「麻雀放浪記 2020」 渋谷TOEI

2019.5.07「麻雀放浪記2020」渋谷TOEI 阿佐田哲也の「麻雀放浪記」は夢中になって読んだ。和田誠の映画 (1984) も大好きである。高品格の出目徳は絶品だった。それが2020年にタイムスリップして甦るという。しかも監督は白石和彌、期待してしまった…

2019.2.27「翔んで埼玉」バルト9

2019.2.27「翔んで埼玉」バルト9 漫画は「ゼロマン」(作.手塚治虫 少年サンデー 1960) を最後に読まなくなった。それまでは少年雑誌の漫画はほとんど読んでいた。突然、画が動いて見えなくなったのである。 今でも漫画とアニメとミュージカルは嫌…

2019.2.02「菊とギロチン」早稲田松竹

2019.2.02「菊とギロチン」早稲田松竹 昨年、見逃したもので一番気になっていた作品。それを早稲田松竹でやるという。初日に行った。3時間の大作。衝撃だった。 まず驚いたのは大掛かりなオープンセットと的確なロケ地の選択。出演者の多さ。これ以…

2018.10.01「 モリのいる場所」 シネリーブル池袋

2018.10.01「 モリのいる場所」 シネリーブル池袋 大分時間が経ってしまったが、良い映画だったのでメモと記憶を絞り出して記す。記憶違いあるやも。 30年間自宅とその庭から一歩も出なかった伝説の画家・熊谷守一をモデルにした沖田修一監督の作品…

2018.12.18 「青の帰り道」 新宿バルト9

2018.12.18「青の帰り道」新宿バルト9 東京からそう遠くない地方都市 (あとで前橋と分かる) 、そこの7人の高校生、煙草を吸い、ギターをかき鳴らして自作の歌を唄い、写真を撮り、学生生活を謳歌する。畑の中を真っ直ぐに伸びる一本の道、冒頭、校…

2018.11.29 「鈴木家の嘘」 新宿ピカデリー

2018.11.29「鈴木家の嘘」新宿ピカデリー 「○○家の~」というとどうしてもコメディを想像してしまう。ましてや岸部一徳だ。これは軽いホームコメディに違いない。ところがノッケから引き籠り息子の首つり自殺だ。でも肝心なところは写さず避けてい…

2018.11.09 「日日是好日」 シネリーブル池袋

2018.11.09「日日是好日」シネリーブル池袋 大森立嗣監督、麿赤児の息子、弟は大森南朋。関わった人は、荒井晴彦、阪本順治、井筒和幸、荒戸源次郎、等(情報・ウィキペディアレベル)。「まほろ駅前多田便利軒」「さよなら渓谷」「光」といった作…

2018.10.16 「散り椿」 新宿ピカデリー

2018.10.16「散り椿」新宿ピカデリー 端正な映画である。シーンシーンがまるで一服の絵の様、完璧で美しい。きっと要求通りの天気になるまで平気で待ち続けた黒澤映画の様な撮影をしたのだろう。脚本 (小泉堯史) も出来る限り削ぎ落とす、おそらく…

2018.10.15 「止められるか、俺たちを」 テアトル新宿

2018.10.15「止められるか、俺たちを」テアトル新宿 1970.11.25 三島由紀夫が割腹自決をした。それを若松孝二 (井浦新) が ”本気だったんだ”という。 あの頃の新宿ゴールデン街、行った事がある店が出てくる。若松、足立正生、荒井晴彦、大和屋竺…

2018.09.13「検察側の罪人」新宿ピカデリー

2018.09.13「検察側の罪人」新宿ピカデリー キムタク、ニノ、夢の競演が売り。人気者二人、スケジュールはピンポイントだったのだろう。脚本を詰め切れてないのは明らか。原田監督自身の強い思いの企画ならいざ知らず、そうでなければ脚本に第三者…

2018.08.27 「カメラを止めるな ! 」 TOHOシネマズ新宿

2018.08.27「カメラを止めるな ! 」TOHOシネマズ新宿 ユーロスペースに行ったら満席、次の回も立ち見です、この歳で立ち見はキツイ。拡大公開になってTOHOシネマズ新宿に行ったらまた満員、次回も満員です。先日ようやく観ることが出来た。左端、…

2018.08.28「銀魂2 掟は破るためにこそある」丸の内ピカデリー

2018.08.28「銀魂2 掟は破るためにこそある」丸の内ピカデリー パチンコのプロの話だと思っていた。前作は観てない。原作が漫画らしいことは想像がついた。パチプロの話ではなかった。 テレ東深夜で福田雄一の名前は知っていた。福田のドラマはペ…

2018.07.02 「万引き家族」 Tジョイ大泉

2018.07.02「万引き家族」Tジョイ大泉 この監督の手に掛ると何で子供たちはこんなに生き生きとするのだろう。お兄ちゃんは見事に演技をしているし、妹は演技を越えて役その物として存在している。書かれた台詞を言っているのではない。恐らく設定…