映画と映画の音楽  by  M・I

音楽を気にしながら映画を観る、そんな雑感

2019.9.02「火口のふたり」新宿武蔵野館

2019.9.02「火口のふたり」新宿武蔵野館 火口とは女陰のことである。そこには生命の神秘がある。そこから命が生まれる。死が隠れている。そして宇宙に繋がっている。日常の中にパックリと開いた非日常、宇宙への入口。けれどそのことに普段は気が付…

2019.9.26「ある船頭の話」新宿武蔵野館

2019.9.26「ある船頭の話」新宿武蔵野館 オダギリジョウ、初監督作品。脚本もオリジナルで自ら執筆。長い間あたためていたという。オダギリがこういうテーマに関心を持っていたことに意外な気がする。 話は近代化の波が地方へも押し寄せた明治の終…

2019.9.18「サタンタンゴ」ヒューマントラスト有楽町

2019.9.18「サタンタンゴ」ヒューマントラスト有楽町 第1章 ファーストカットで眠りに落ちる? マラソンに臨むような気持で見た。 ファーストカットはひと気の無い寒村、そこのぬかるみの広場に放たれた牛の群れ。一頭がカメラに近づいて来たのでそ…

2019.9.20「ワンス アポン ア タイム イン ハリウッド」新宿ピカデリー

2019.9.20「ワンス アポン ア タイム イン ハリウッド」新宿ピカデリー 映画オタク・タランティーノの蘊蓄満開の映画である。というよりも幼き頃の彼の脳裏に染みついた光景や音楽を見事に再現した幼児体験再現の映画。1969年のハリウッド、タラン…

2019. 9. 19「ラスト・ムービースター」シネマカリテ

2019.9.19「ラスト・ムービースター」シネマカリテ 前日「サタンタンゴ」(7時間18分150カット、拙ブログ2019.9.18) を見てのこの映画、一瞬目眩がした。「サタン~」を見た時の目眩とは真逆。僕は「サタン~」対応の鑑賞眼のままになっていたらしい。…

2019.9.04「引っ越し大名」池袋グランドシネマサンシャイン

2019.9.04「引っ越し大名」池袋グランドシネマサンシャイン チャンバラではない、武士の大義とかでもない、武士の生活を描く時代劇が登場したのは、いつ頃からだろうか。多分「武士の家計簿」(2010 監督.森田芳光) が始まりか。次に「武士の献立」(…

2019.8.29 「ダンス ウィズ ミー」TOHOシネマズ日比谷

2019.8.29 「ダンス ウィズ ミー」TOHOシネマズ日比谷 ミュージカルは嫌いだ。でもこの映画、僕のイメージするミュージカル映画ではない。懐メロ歌謡コメディ、さらにはロードムービーだ。だから僕は大好きだ。 冒頭、近代的高層ビルのオフィス、そ…

2019.8.29 「世界の涯ての鼓動」日比谷シャンテ

2019.8.29 「世界の涯ての鼓動」日比谷シャンテ 今時こんな一直線一途な恋愛映画も珍しいのでは… 果たしてこんな恋愛映画は成立するのか。その為に男女の設定を考えうる限り離れたものにする。 女 (アリシア・ビカンダー) は海洋生物学者、地球の中…

2019. 7. 20 「狙撃」(1968) 京橋フィルムセンター

2019.7.20 「狙撃」(1968) 京橋フィルムセンター 2018年に物故した映画人を追悼する上映会が京橋フィルムセンターで7~8月と行われている。その中のプロデューサー・貝山知弘さん追悼の「狙撃」(1968) を観た。 貝山さんは映画プロデューサーであると…

2019.6.20 「泣くな赤鬼」新宿バルト9

2019.6.20 「泣くな赤鬼」新宿バルト9 高校野球の監督(堤真一)と教え子ゴルゴ (柳楽優弥)、ゴルゴは妻 (川栄李奈) と幼い子供を残して癌で死ぬ。典型的な泣ける映画である。今だったらパワハラで訴えられる様な、かつてシゴキと言われた一歩手前の…

2019.7.17「愛がなんだ」テアトル新宿

2019.7.17「愛がなんだ」テアトル新宿 「旅のおわり世界のはじまり」があまりに肩透かしの薄味だったので、続けて同じテアトル新宿で「愛がなんだ」を観てしまった。何とこちらも薄味、というか今時アラサー女の恋愛事情、僕には全く感じるものが無か…

2019.7.17「旅のおわり世界のはじまり」テアトル新宿

2019.7.17「旅のおわり世界のはじまり」テアトル新宿 随分、壮大且つ大仰意味深なタイトルである。しかも監督は黒沢清、きっと人間存在の核に触れるような物語に違いない。 初めにウズベキスタンという僕らにとっては未知なる国がある。そこに前田敦子…

2019.7.26 「凪待ち」日比谷シャンテ

2019.7.26 「凪待ち」日比谷シャンテ 白石和彌らしい映画、ほっとした。「麻雀放浪記2020」(拙ブログ2019.5.07 )ではどうなってしまったのか心配した。本来の姿に戻ってくれた。 主演は香取慎吾、圧巻である。 冒頭、印刷工場をリストラされた郁男 (…

2019.6.25 「町田くんの世界」丸の内ピカデリー

2019.6.25 「町田くんの世界」丸の内ピカデリー 少女マンガが原作らしい。予備知識全く無く観た。 冒頭、LPレコードに針が落とされるドUP、レコードのジャケットには〇○○(?) とアルファベット、賑やかな音楽が流れ (これはオリジナルそれとも既成曲…

2019.6.24「ゴジラ  キング・オブ・ザ・モンスターズ」新宿ピカデリー

2019.6.24 「ゴジラ キング・オブ・ザ・モンスターズ」新宿ピカデリー 日本の特撮映画だったらまず冒頭は主人公の紹介と日常描写だ。あるいは突然、ゴジラがどこどこに現れましたと特撮が短く入るも日常に戻る。本格的に特撮が始まるのは中盤以降。…

2019.6.03 「コンフィデンスマンJP」 TOHOシネマズ新宿

2019.6.03「コンフィデンスマンJP」TOHOシネマズ新宿 TVドラマの映画化であることを全く知らず、最近輝きだした長澤まさみへの興味から観た。そして「スティング」や「オーシャンズ11」の様なコンゲーム物、邦画では無理なんじゃないかなぁと思いつつ… 結論…

2019.5.06 「岬の兄妹」 イオンシネマ板橋

2019.5.06「岬の兄妹」イオンシネマ板橋 兄・良夫 (松浦祐也) は足が不自由、妹・真理子 (和田光沙) は知的傷害、そんな兄妹の底辺の生活。母はどこか遠くへ逃げてしまったらしい。ボロ家は段ボールで窓をふさぎ外から遮断されている。兄が働きに出…

2019.5.08「記者たち 衝撃と畏怖の真実」TOHOシネマズ・シャンテ

2019.5.08「記者たち 衝撃と畏怖の真実」TOHOシネマズ・シャンテ アメリカがイラクを攻撃した理由として大量破壊兵器保有があった。後で解ったが、実はデッチ上げだった。初めにイラクとの戦争有りき。ラムズフェルトを中心にそのシナリオに則して…

2019.5.07 「麻雀放浪記 2020」 渋谷TOEI

2019.5.07「麻雀放浪記2020」渋谷TOEI 阿佐田哲也の「麻雀放浪記」は夢中になって読んだ。和田誠の映画 (1984) も大好きである。高品格の出目徳は絶品だった。それが2020年にタイムスリップして甦るという。しかも監督は白石和彌、期待してしまった…

2019.2.27「翔んで埼玉」バルト9

2019.2.27「翔んで埼玉」バルト9 漫画は「ゼロマン」(作.手塚治虫 少年サンデー 1960) を最後に読まなくなった。それまでは少年雑誌の漫画はほとんど読んでいた。突然、画が動いて見えなくなったのである。 今でも漫画とアニメとミュージカルは嫌…

2019.3.02「THE GUILTY ギルティ」ヒューマントラスト渋谷

2019.3.02「THE GUILTY ギルティ」ヒューマントラスト渋谷 耳にインカムを付けた緊急通報室オペレーター・アスガー (ヤコブ・セ―ダ―グレン) のみを映し続けるカメラ。舞台も緊急通報室のみ。しかも焦点はアスガーだけに絞られている。 一本の通報が…

2019.2.14 M・I グランプリ 2018

2019.2.14 M・I グランプリ 2018 昨年は邦画25本、洋画13本しか観ていない。これでグランプリを選ぶのは気が引ける。それでも僕が昨年劇場で観た映画、というカッコ付で敢えて強行する。評価の高かった「きみの鳥はうたえる」「孤狼の血」「斬…

2019.2.02「菊とギロチン」早稲田松竹

2019.2.02「菊とギロチン」早稲田松竹 昨年、見逃したもので一番気になっていた作品。それを早稲田松竹でやるという。初日に行った。3時間の大作。衝撃だった。 まず驚いたのは大掛かりなオープンセットと的確なロケ地の選択。出演者の多さ。これ以…

2019.1.09「家へ帰ろう」シネスイッチ銀座

2019.1.09「家へ帰ろう」シネスイッチ銀座 本年最初の映画。冒頭はダルシマーのUPから。ヴァイオリン、アコーディオン、クラリネット、コントラバス、ギター(あったか?) の賑やかな演奏。ユダヤ人の一族が集まっての大宴会。曲に合わせてみんな踊り…

2019.1.25「バハールの涙」新宿ピカデリー

2019.1.25「バハールの涙」新宿ピカデリー 暫く更新を怠っていた。今年最初のUPである。今年に入ってまだ映画を二本しか見ていない。一本目は「家に帰ろう」、とっても良い。これについては近々UPの予定。二本目がこれ、重いだろうことは想像がつい…

2018.08.24「Wind River」角川シネマ有楽町

2018.08.24「Wind River」角川シネマ有楽町 大分時間が経ってしまったが、良い映画だったのでメモと記憶を絞り出して記す。記憶違いあるやも。 アメリカは広い。舞台はワイオミング州だという。ワイオミングと言えば「ララミー牧場」だ。緑豊かな…

2018.10.01「 モリのいる場所」 シネリーブル池袋

2018.10.01「 モリのいる場所」 シネリーブル池袋 大分時間が経ってしまったが、良い映画だったのでメモと記憶を絞り出して記す。記憶違いあるやも。 30年間自宅とその庭から一歩も出なかった伝説の画家・熊谷守一をモデルにした沖田修一監督の作品…

2018.12.18 「青の帰り道」 新宿バルト9

2018.12.18「青の帰り道」新宿バルト9 東京からそう遠くない地方都市 (あとで前橋と分かる) 、そこの7人の高校生、煙草を吸い、ギターをかき鳴らして自作の歌を唄い、写真を撮り、学生生活を謳歌する。畑の中を真っ直ぐに伸びる一本の道、冒頭、校…

2018.11.29 「鈴木家の嘘」 新宿ピカデリー

2018.11.29「鈴木家の嘘」新宿ピカデリー 「○○家の~」というとどうしてもコメディを想像してしまう。ましてや岸部一徳だ。これは軽いホームコメディに違いない。ところがノッケから引き籠り息子の首つり自殺だ。でも肝心なところは写さず避けてい…

2018.11.09 「日日是好日」 シネリーブル池袋

2018.11.09「日日是好日」シネリーブル池袋 大森立嗣監督、麿赤児の息子、弟は大森南朋。関わった人は、荒井晴彦、阪本順治、井筒和幸、荒戸源次郎、等(情報・ウィキペディアレベル)。「まほろ駅前多田便利軒」「さよなら渓谷」「光」といった作…