映画と映画の音楽  by  M・I

音楽を気にしながら映画を観る、そんな雑感

2018.10.16 「散り椿」 新宿ピカデリー

2018.10.16「散り椿」新宿ピカデリー 端正な映画である。シーンシーンがまるで一服の絵の様、完璧で美しい。きっと要求通りの天気になるまで平気で待ち続けた黒澤映画の様な撮影をしたのだろう。脚本 (小泉堯史) も出来る限り削ぎ落とす、おそらく…

2018.10.15 「止められるか、俺たちを」 テアトル新宿

2018.10.15「止められるか、俺たちを」テアトル新宿 1970.11.25 三島由紀夫が割腹自決をした。それを若松孝二 (井浦新) が ”本気だったんだ”という。 あの頃の新宿ゴールデン街、行った事がある店が出てくる。若松、足立正生、荒井晴彦、大和屋竺…

2018.09.13「検察側の罪人」新宿ピカデリー

2018.09.13「検察側の罪人」新宿ピカデリー キムタク、ニノ、夢の競演が売り。人気者二人、スケジュールはピンポイントだったのだろう。脚本を詰め切れてないのは明らか。原田監督自身の強い思いの企画ならいざ知らず、そうでなければ脚本に第三者…

2018.08.27 「カメラを止めるな ! 」 TOHOシネマズ新宿

2018.08.27「カメラを止めるな ! 」TOHOシネマズ新宿 ユーロスペースに行ったら満席、次の回も立ち見です、この歳で立ち見はキツイ。拡大公開になってTOHOシネマズ新宿に行ったらまた満員、次回も満員です。先日ようやく観ることが出来た。左端、…

2018.08.28「銀魂2 掟は破るためにこそある」丸の内ピカデリー

2018.08.28「銀魂2 掟は破るためにこそある」丸の内ピカデリー パチンコのプロの話だと思っていた。前作は観てない。原作が漫画らしいことは想像がついた。パチプロの話ではなかった。 テレ東深夜で福田雄一の名前は知っていた。福田のドラマはペ…

2018.08.20 「オーシャンズ8」丸の内ピカデリー

2018.08.20「オーシャンズ8」丸の内ピカデリー 暫く映画から遠ざかっていた。久々の復帰。まずは軽めの作品で。 これ予告編を観て、絶対観ようと思っていた。予告編の音楽が「旅立てジャック」だったから。’60のオリジナルではなく今風カバーだっ…

2018.07.26 「女と男の観覧車」 丸の内ピカデリー

2018.07.26「女と男の観覧車」丸の内ピカデリー ウッディ・アレン師匠のNYマンハッタン亭、今宵のお噺はケイト・ウィンスレットを主演に迎えてのロングアイランド物語、相変わらずの軽妙洒脱な語り口、これ既に名人の域、まずはその芸をご堪能あ…

2018.07.02 「万引き家族」 Tジョイ大泉

2018.07.02「万引き家族」Tジョイ大泉 この監督の手に掛ると何で子供たちはこんなに生き生きとするのだろう。お兄ちゃんは見事に演技をしているし、妹は演技を越えて役その物として存在している。書かれた台詞を言っているのではない。恐らく設定…

2018.07.01 「終わった人」 丸の内TOEI

2018.07.01「終わった人」丸の内TOEI 会社が全てだった男(舘ひろし)が定年を迎えた。何をしてよいかわからない。腑抜けの様になる。10年以上前のテーマだ。とは言いながら、今も僕の周りでは定年になって、午前中が長くって、とか、何をしてよ…

2018.07.03 「空飛ぶタイヤ」 丸の内ピカデリー

2018.07.03「空飛ぶタイヤ」丸の内ピカデリー かつて邦画には社会派エンタテイメントというジャンルがあった。代表的な監督は山本薩夫である。「白い巨塔」(1966)「華麗なる一族」(1974)「金環蝕」(1975)「皇帝のいない八月」(1978)等、企…

2018.04.10「素敵なダイナマイトスキャンダル」 テアトル新宿

2018.04.10「素敵なダイナマイトスキャンダル」テアトル新宿 原作は雑誌「写真時代」の伝説の編集者末井昭の自伝。僕より一つ二つ上か。ほとんど我が青春と重なる。喫茶店のシーン、青臭い議論にさえ加われず、奥で一人暗く座っている僕が居てもお…

2018.03.23 「羊の木」 渋谷シネパレス

2018.03.23「羊の木」渋谷シネパレス 仮釈放された犯罪者6人が北陸の小さな町魚深に新住民としてやってくる。刑務所の経費削減、町の過疎対策、両方を兼ね備えた極秘の国家プロジェクト、自治体が身元引受人となり仕事を斡旋、最低10年そこに住む…

2018. 2. 24 「犬猿」 テアトル新宿

2018.2.24 「犬猿」テアトル新宿 予告編、多分漫画が原作の今風青春物、タイトルも「恋する君の隣には」、性懲りもなく三番煎じ企画、一体どこが作ったんだ。最後に素人の女の子の、もう感動しちゃって、というコメント映像が流れる。素人にしては…

2018.2.07「嘘を愛する女」日比谷シャンテ

2018.2.07 「嘘を愛する女」日比谷シャンテ 5年も一緒に暮らしていた男の、名前も仕事も免許証も嘘だった、全く何者か解らない、こんなことってあるだろうか。どこかでアレっ? と思う瞬間は無かったか。 ふとしたことから猜疑心が起きる。一旦起き…

2018.1.26 「DESTINY 鎌倉ものがたり」 新宿ピカデリー

2018.1.26「DESTINY 鎌倉ものがたり」 新宿ピカデリー 鎌倉である必然性が全くない。鎌倉はお化けも死者も普通に共存する、何故? 多少は鎌倉の歴史なり地形を紐解いて、簡単な理由づけのひとつもあれば。鎌倉はそう言う所です、ご了解下さい、で始…

2018.2.09 「スリー・ビルボード」 シネリーブル池袋

2018.2.09 「スリー・ビルボード」シネリーブル池袋 アメリカ中西部ミズーリ州の片田舎、黒い山並みと町のロングにソプラノで「庭の千草」 (原曲はアイルランド民謡) が流れる。荘厳な感じがする。何が始まるのか。 中年女ミルドレッド (フランシス…

2018.1.23 「M・I グランプリ 2017」

2018.1.23 「M・Iグランプリ2017」 このブログも3年目に突入した。昨年に続き2017年の総括をしてみようと思う。 2016年はちょうど100本の映画を見た。2017年は半減、邦画30本、洋画29本、その内ブログにアップしたもの36本(邦15本、洋21本)。コラム…

2018.01.16 三縄一郎さんの訃報

2018.01.16 三縄一郎さんの訃報 三縄さんが昨年12月16日に亡くなっていた。99歳。知らなかった。年賀状を出したら、ご遺族からその旨記した手紙が来た。葬儀は家族葬として行ったとのこと。それにしても新聞には載ったのだろうか。新聞をあまり読…

2018.01.07 貝山知弘さん、追悼

2018.01.07 貝山知弘さん、追悼 1月7日、貝山さんが亡くなった。84歳だった。 僕は貝山さんを勝手に僕の唯一の師匠だと思っている。 1976年、売れてるアーティストのいない東宝レコードの名ばかりの新米ディレクターだった僕は毎月の編成会議が苦…

2017.12.27 「勝手にふるえてろ」 シネリーブル池袋

2017.12.27 「勝手にふるえてろ」シネリーブル池袋 自意識過剰で妄想癖の恋愛初心者ヨシカを松岡茉優が熱演。憧れのイチには鼻も掛けられず、二の本気度に気付いてハッピーエンドとなる、あまりにもよくある話。イチとは高校の頃から憧れ続ける一…

2017.10.10 「ダンケルク」 新宿ピカデリー

2017.10.10 「ダンケルク」新宿ピカデリー 今頃「ダンケルク」、昨年秋の映画。二度見したかったのだが、その機会を逸した。直後のメモを頼りに記す。細部の記憶は曖昧。 映画は文学と美術と音楽と科学技術を総動員して作り出す表現である。そこか…

2017.12.23 「『羅生門』『用心棒』」上映会」 1/20に開催

2017.12.23 「映画音楽の名作を観る-黒澤明監督特集『羅生門』『用心棒』」上映会」、1/20に開催 練馬区文化振興協会主催で「映画音楽の名作を観る-黒澤明監督特集『羅生門』『用心棒』」上映会」が来年 (2018) 1月20日 (土) に開催されます。…

2017.12.05 佐藤勝、18回目の命日

2017.12.05 佐藤勝、18回目の命日 あっと言う間の一年である。12月5日、南大塚の西信寺にお参りに行ってきた。黄色く色付いた巨大な銀杏の木が初冬の抜ける様な青空に映えていた。境内は落ち葉で埋め尽くされている。ここは佐藤先生と千恵子さん …

2017.11.29 「Ryuichi Sakamoto:CODA」 角川シネマ有楽町

2017.11.29「Ryuichi Sakamoto:CODA」角川シネマ有楽町 坂本龍一、65歳。9.11があり、3.11があり、自身が癌になり、かつてYMOで世界を席巻し、大島渚と「戦場のメリークリスマス」(1983) で出会い、ベルトリッチの「ラストエンペラー」(1987)「シ…

2017.11.10「ブレードランナー 2049」丸の内ピカデリー

2017.11.10「ブレードランナー 2049」丸の内ピカデリー 二度見した。一度目は ”タイレル社” や ”レイチェル” と言う言葉を聞いて一気に30年前に戻り、前作を観た時の衝撃を思い出した。灰色に煙るLAの高層ビル群をぬって飛行するブレードランナー…

2017.10.31 「ゴジラ シネマコンサート」 無事終了

2017.10.31「ゴジラ シネマコンサート」無事終了 10月31日、「ゴジラ シネマコンサート」15時と19時の二回公演は無事終了。樋口真嗣、富山省吾両氏とのプレトークも、司会の笠井さん (CX) の軽妙な進行で、あっと言う間に終わった。二回とも同じ話…

2017.09.11 「散歩する侵略者」 シネリーブル池袋

2017.09.11 「散歩する侵略者」シネリーブル池袋 宇宙人侵略物SFの形を借りた、夫婦の再生の物語。 3日程行方不明だった夫・加瀬真治(松田龍平) が別人の様になって帰って来る。妻・鳴海 (長澤まさみ) は上手くいってなかった関係を考えると、遂…

2017.09.17   「ゴジラ シネマコンサート」  10/31に開催

2017.09.17 「ゴジラ シネマコンサート」10/31に開催 東京国際映画祭のイヴェントとして「ゴジラ シネマコンサート」が開催される。 そのプレトークにゲストとして参加することになった。富山省吾 (プロデューサー)、樋口真嗣 (監督) の両氏と私。…

2017.09.15 CD 「ゴジラ伝説Ⅴ」

2017.09.15 CD「ゴジラ伝説Ⅴ」 1983年、アルバム「ゴジラ伝説」を制作した。プロデューサーは私と藤田純二氏 (当時はキングレコード、その後独立してユーメックスを起こす) 。プロデューサーと言ってもビジネス周りをやっただけで企画とサウンドプ…

2017.09.01 「エル  ELLE」 日比谷シャンテ

2017.09.01「エル ELLE」日比谷シャンテ よくぞまあここまで今の様々な問題をぶち込んだものである。情報量は大変なもの。それを単なる羅列に終わらせず、有機的に物語として、しかも一級のエンタテイメントとして纏め上げた脚本と演出は大変なも…