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映画と映画の音楽  by  M・I

音楽を気にしながら映画を観る、そんな雑感

2008.8.25「ジャージの二人」恵比寿ガーデンシネマ

2008.8.25「ジャージの二人恵比寿ガーデンシネマ

 

ゆったりまったりのんびりした映画である。

父親と息子が毎年夏になるとコンビニで待ち合わせをして、北軽井沢 (群馬県側、高級な軽井沢ではない) の別荘というより小屋に近い山荘に避暑に行く父親は何度か離婚を繰り返し、今の妻とも上手くいってない。かつては大自然を専門に撮っていた、今はグラビア専門のカメラマン。息子は仕事をやめ小説を書こうとしているような。同棲相手の彼女とは彼女に別の男が出来たことでこちらも別れかけている。そんな二人の何回かの夏を追った映画。

父親は鮎川誠、息子は堺正人。鮎川は鮎川のマンマ、演技をしているのかどうかすら解らない。堺は、役柄からもコマコマと甲斐甲斐しく動いて、達者な演技をする。このあまりのギャップ。大丈夫かな、映画として成立するのかな、と心配になる。その内鮎川の台詞以前のセリフ、のったりした動作、時々言うギャグ以前のギャグにホッとし始める。リズムが合ってきた。結果として絶妙なボケとツッコミだった。

山荘に着くと薪を割り掃除をし、父親はマージャンゲームをやり続け、時々”今夜何にする?”と買出しに行って食事を作る。たまに客が来て愚痴をこぼして翌朝帰る。息子の別れかけている彼女も来た。あまりに退屈なのでお誘いメールを打つと二番目の妻との間の高校生の娘が来て、オヤジ二人は翻弄される。

父親は今の妻とも別れるようだ。息子も彼女と完全に別れることになる、多分。それだけの映画である。

浅間山を一望する嬬恋高原のキャベツ畑の、この辺で形態の受信マークが唯一3本立つところが、時々生き抜きのように広い絵で入る。

映画を見に行く時、一時をその世界に感情移入し没頭し興奮し現実を忘れさせてくれる、そんなことを期待する。この映画は逆。見始めたら外の日常よりテンションが下がり,気がつけば鮎川のあのセリフのペースになっていた。高揚と興奮で非日常へ引っ張っていくのではなく、ゆったりまったりのんびりのローテンションで非日常へ引き入れるのだから多少の時間は掛かる。しかしこのローテンション、一度入ると中々快適だった。ローテンションに勇気付けられた。よっこらしょ、さあ日常に戻るか、である。

音楽はシンプルなメロのワンテーマ。Pf、AGがメロを取る。前半は懐かしい感じ、サビからはレトロなギタージャズという感じ。要所要所にこのテーマをあてる。ここまでワンテーマ押しは最近の映画では珍しい。それがとっても生きている。上手く合えば一曲で映画の音楽は賄えるという好例。Pf、G、B、Dr、Syn、フラットマンドリンもあったか。そんなバンド編成。一箇所、ロックがあった。

主題歌もとっても映画にあっていた。

音楽 大橋好規   主題歌 HALCALI  詩.YUKI 曲.YO-KING