2008.8.31 「闇の子供たち」スバル座
2008.8.31 「闇の子供たち」スバル座
こういう映画を作ったことに驚き。始めはドキュメンタリーか、志高い独立系映画かと思いきや、江口洋介、宮崎あおいに妻夫木聡が出演する、列記としたメジャー日本映画である。内容は超ハード。幼児売春と幼児臓器売買。恩恵を受けるのは金持ち日本人。声も出ない。
冒頭、月(地球?)の表面が画面一杯に映し出されて、そこに唸るような女声でボーカリーズが入る。女声の背後にはシンセの白玉。タイか中近東の既成曲を充てたものと思い、上手いやつ捜したなあと思った。音楽はほとんど無し。ポイントポイントにこのボーカリーズが付けられる。
この映画にどんな音楽が対峙出来ようか。音楽としてきちんと整理された楽音はおそらくどんなものも弾き飛ばされるだろう。考えられうるのは、打楽器か、こういうボーカリーズ。整理されたメロディー感は不要である。
ローリングを見て驚いた。音楽・岩代太郎となっていた。この音楽のアイデアは監督か岩代か。いずれにしても見事。音色、付け所、ともに完璧。岩代太郎大いに見直す。
さて、ローリングが始まって流れた桑田の主題歌。製作にアミューズが入っているとはいえ、桑田自身もさぞかし恥ずかしいのでは。タイのこの映画の現実の前には日本の音楽なんてどれもフ抜けて聴こえてしまいます。桑田は私は大好きです。安全な日本の私の日々の日常の中で聴く限り、桑田は大好きなアーティストの一人です。でもこの映画、私の日常、一般的日本人の日常とはかけ離れた現実を描いているのです。ここに桑田を持ってくるのは酷というもの。桑田が可哀想。この映画のお尻に湘南の風を吹かせてどうなるとお考えか。このような仕掛け、一体誰にメリットがあるのか、プロデューサー諸氏は考えるべきです。