映画と映画の音楽  by  M・I

音楽を気にしながら映画を観る、そんな雑感

2011.5.24「神様のカルテ」試写室

2011.5.24「神様のカルテ」試写室    

 

深川監督、中々である。ちゃんと世界感を作っている。

慌しいこの世界に異分子とさえ言える価値観の主人公とその妻。原作は漫画。

全編物静か。それをだれることなく見せきったテクニックは大したもの。これは脚本よりも演出に負う所大。

音楽・松谷卓。極力音楽を少なく付けた監督や良し。

松谷もピアノポロンポロンかと思ったら、弦カルやCla、Ob など木管を上手く使っていて、随分進歩したと思いきや、アレンジは別にいるそうな。それでもまあ良い。

エンドロールは辻井伸行のPf 。それだけ聞いたらどうってことない曲だが、映画には合っていた。途中から弦が入り、エンドロールとしてきちんと出来ている。これは服部隆之の編曲。みんなの協力により音楽は成立した。

嵐・桜井が別世界で生きているような善良の塊をスローテンポで演じて、その内ピッタリに見えてきた。宮崎あおいも別世界人間夫婦を上手く演じている。

病人の加賀まりこ、看護婦の池脇千鶴柄本明も、手堅い。

安っぽい感情を煽る映画になっていなかったのは嬉しい。監督の力。

監督.深川栄洋  音楽.松谷卓  主題曲.辻井伸行