2011.7.13「のぼうの城」東京現像所
2万の敵に2,000で対抗して落ちなかった本当の話だそうである。その城の城主・のぼう様は、柔よく剛を制すの典型。部下の剛の者はじめ百姓からも“のぼうのぼう”と馬鹿にされつつ愛され、みんなを纏め、水攻めを破り、石田三成に勝利する。
人の心を掴むとは、とビジネス書にもなりそうなネタである。和田竜の城戸賞受賞作品。
監督は犬童一心と樋口真嗣。樋口は主に特撮担当で、やはり犬童さんの力が大きい。城があり、馬が走り、合戦があり、水攻めがある。大スペクタクルである。大変なお金を掛けている。お金が物語を語るのに生きている。
役者が良い。強くて逞しい男から、軟弱でひ弱な男までの、男の品評会。あなたの好みは誰?という感じ。剛の者として佐藤浩市、山口智充(グッさん)、軟弱系が成宮寛貴。その中で一番弱くだらしなく毅然としてない、のぼう様が一番見事な男、リーダーとなる。それを野村万歳が見事に演じる。これ以上やったら単なる悪ふざけ、リアリティが無くなるというギリギリのところで演じている。この度合いは万歳と監督、見事。
音楽、上野耕路。どこをとっても上野印が付いている。アクションシーンの音楽でさえ、ちゃんとトンガッたPfの打音が入っていてダサくない。
田植え歌の伝統的牧歌的歌もちょっと当たり前とは違う。長い長いプレイバックの“瓢箪ヒョウロロヒョウロロ”も実に上手くいっている。これは野村万歳という突出した演者の力に負うところ大である。
編成は大きい。木管、金管、弦、ディディドゥー、琴など。ベタつくことなく、距離を置いた付け方をしている。
主題歌、エレファントカシマシ。印象に残っていない。