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映画と映画の音楽  by  M・I

音楽を気にしながら映画を観る、そんな雑感

2011.9.15「ゴーストライター」 ヒューマックス有楽町 

2011.9.15「ゴーストライター」 ヒューマックス有楽町 

 

ポランスキーである。渋い。円熟。上手い。余裕である。

やめたばかりのイギリス首相の自叙伝のゴーストライターを依頼されるイアン・マクレガー。前任者は不審な死をとげている。アメリカの人里はなれた避暑地の島でインタビューの作業が始まった矢先、元首相にテロ容疑者への拷問の事実が発覚する。そから始まるサスペンスと謎解き。その手練手管は見事。複雑な話を要領よく説明しながら、ハラハラドキドキ、背後の政治的謀略、アメリカCIAがオックスフォードの演劇学生を見事イギリス首相に仕立て上げた、その背後に米軍事企業。いかにもありそうな筋立て。拷問容疑が報道された途端、別荘の上をヘリが飛び、その映像がリアルタイムでTVにオンエアされるなど、今の全世界同時リアルタイムという現実、携帯のお陰で、事が発覚してからその処理がされるまでがほとんど瞬時であることなどが、実に上手く描かれている。秘密がばれると解ると、5分後には不審な事故死が起きる、という恐ろしい現実。

脚本が良い。そして演出が良い。イアン・マクレガーも元首相役のピアーズ・ブロスナンもピッタリ。時に往年のハリウッドサスペンス映画をレスペクトして真似てるようなところも。音楽はかなりそんなところがある。始めの方の2曲程、そんな付け方をしているが、途中でFO。それなら無くても良かったか。それとももう少し引っ張ったほうが…、そんなところ何箇所か。音楽、定石のようでよく聴くと中々複雑な現代音楽。それが古色蒼然となるところを押し止めている。中々の手ダレと思ったら、賀来卓人ご推薦のアレキサンダー・デスプラ。いや才人である。

それにしてもアメリカもイギリスも相当なインテリが諜報や謀略という仕事に付いている。

それらの人々には安心した日常などないのだろう。そんな仕事、堪らない。日本でも外事警察がそんなところなのか。

ポランスキーはフイルムを知り尽くしているといった感じ。

監督.ロマン・ポランスキー 音楽.アレキサンダ―・デスブラ