2012.3.5「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」丸の内ピカでリー
2012.3.5「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」丸の内ピカでリー
9.11ネタは10年を経て、ようやく客観化出来るようになったというべきか。
父親のトム・ハンクスがWTCビルの犠牲となり、残された息子が、父親の残した鍵を頼りに、父親が残した何かを見つけ出そうとする話。
この子供が利発な奴で、とにかくよくしゃべる。物事を論理化して一つ一つ整理していく。その過程が、仕舞にはウザくなる。とにかくよくしゃべる。“削ぎ落とす”ということに美しさを感じるようになった私には、この過剰が耐えられない。
音楽はかなりベタに付いている。ミニマルっぽかったりでかなり高度。でもこのベタ付きの音楽がなかったら映画として成立していなかったのでは。音楽が強引に物語を引っ張る役割を担っている。
アレキサンドル・デスプラである。成る程この人に仕事が集中するのが良く分かる。「ハリポタ」「おとなのけんか」「ゴーストライター」「英国王のスピーチ」、その幅たるや。成る程である。
泣くことは出来なかった。プロセスは“鍵”を使って斬新でも、最後は父母家族の絆という所に収斂させる以上、もう少し泣けるように作るべきではなかったか。
テロの社会的背景を追求したものなら別だが、ただ親子の物語なのだから。
監督.スティーブン・ダルドリー 音楽.アレキサンドル・デスブラ