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映画と映画の音楽  by  M・I

音楽を気にしながら映画を観る、そんな雑感

2013.1.24「テッド」スカラ座

2013.1.24「テッド」スカラ座

   

縫いぐるみのテディベアが命を吹き込まれ、ひとりぼっちだった男の子と共に成長し、今や二人は中年を迎えている。そんな設定アイデアは中々。おまけに二人は葉っぱとDVDで青春を過ごした。でも男の子には彼女がいる。彼女と結ばれる為には、親離れならぬテディ離れをせねばならない。

映画のパロディ満載、80,90年代のポップス満載、随所にそんなスターも顔を出す。私にオチは解り切らなかったが、その辺が分かるネイティヴには私より10倍位楽しめただろう。

テッドは可愛い縫いぐるみのまま、完全にスケベ親父である。お下劣エロトーク満載、でも縫いぐるみの外見が中和する。シャンプーを顔に掛けて、顔射!にはここまでやるか。でも浮かんじゃったアイデアを止めることは出来なかったのだろう。

設定アイデアが良くて、台詞がオタクチックなところも含めてシャレていて、ストーリーは青年の自立の物語。自立の物語に毒がないところが喰い足りないが、メジャー映画としてはギリギリ王道で纏めたということでしょう。

何より彼女役がジジイ好みのイイ女、それだけで私は見てしまう。脇のその他の女もみんなイイ。アメリカはこんなにイイ女だらけなのか。ジジイとしては涎垂もの。

音楽は一昔前のシンフォニックジャズ、ビッグバンド+ストリングスで、シャレてレトロでオープニングから良い感じである。変な半音や転調のないシンプルさがこの映画をほのぼのとしたアメリカ映画の王道にしている。この音楽のお陰で過剰にもお涙にもならずに済んだ。既成曲の選曲といい、オリジナルの劇伴といい、音楽は良いセンスである。「オクタパシー」(007)の絶妙なヘタさには笑った。

しかし、しかし、何か後味が悪い。何なのか。小人のプロレスを連想した。ある種の差別のようなものを感じた。この種の話、最後はまた元の縫いぐるみに戻るとか、また次の内気な少年と出会ってまた繰り返されるとか、何かのオチ、納得点があって、見る方は安心する。一時のファンタジー、終ってちゃんと元に戻った、みたいな。この映画にはそれがない。縫いぐるみスケベ親父はこれからも彷徨い続ける。これはちょっと残酷なのではないか。観客の気持ちをストンと落とす予定調和も必要な時は必要だ。それを敢えて拒否している作り手の若い野心は解るが。私が年取ったということか。モンティパイソンに狂喜した者としては自らの変わり様を反省すべきか。

でも後味が悪い。

監督 セス・マクファーレン  音楽 ウォルター・マーフィー