映画と映画の音楽  by  M・I

音楽を気にしながら映画を観る、そんな雑感

2013.12.9「利休にたずねよ」丸の内東映

2013.12.9「利休にたずねよ」丸の内東映

 

アバンから取り巻く兵士の数が4人位だったり、寄りばかりで何かテレビッぽい。大作と期待していたのに。とにかく寄りと顔のアップがやたらに多い。製作費が無かったのだろうか、広い絵はたまにしかない。狭い茶室だからといってアップばかりでは疲れる。セットも今作ったばかりですという感じの安手の作り。撮り方もテレビだ。この監督、映画の経験はあるのか。

話は太閤の命に従わず切腹に追いやられる、それを敢えて受け入れた利休の謎を解いていくという、これまでにも何度かあった話。しかし全く納得させてくれない。若い頃、売られて来た高麗の姫に恋し、二人で逃げるも捉われ、彼女のみ自害、利休は死ねなかったという話を、さも謎の核心のように語る。安っぽいメロドラマである。テレビの昼帯の如きドラマで「美」がどうのこうのと言われても白けるだけ。

音楽・岩代太郎。音楽も浮ばなかったのだろう。それにしても謎解きサスペンスに合わせてか、Pfの単音アルペジオは無い。Pfの音色が違う。音楽がなかったらどうにも持たないというところにはちゃんと付けてはいるが、映像が映像なだけにメロドラマの安っぽさを強調する結果となっている。岩代さん、きつかっただろうなぁ。

話の安っぽさと演出の稚拙さに海老蔵が気の毒になった。

監督 田中光敏  音楽 岩代太郎