映画と映画の音楽  by  M・I

音楽を気にしながら映画を観る、そんな雑感

2014.8.5「オール ユー ニード イズ キル」丸の内ピカデリー 

2014.8.5「オール ユー ニード イズ キル」丸の内ピカデリー 

 

Deathはいつの間にかReset という、軽い言葉になってしまった。原作は桜坂洋の小説。

ゲームを実写にしたような映画。ネタは時間のループ。死ぬと前の決められた時間に戻って生き返り、しかも記憶は残っている。またそこからやり直す。エイリアンとの死闘を繰り返すケイジ(トム・クルーズ)。何とかこの勝ち目なき戦いを越える為に、同じ運命を持つパワフルな女と、先に、次のステージに進もうとする。しかしもうダメだとなると、女はトム・クルーズを射殺、すると前の時間に戻って、再び同じことを繰り返し、その女と出会い、二人で新しいステージへ挑む。「死」の無意味化。撃たれりゃ痛いだろうにと思うのは初めだけ。その内痛みも感じなくなる。イヤな設定である。エイリアンのαだかβだかの血を浴びた為にそうなったと言葉で説明はあるが、リアリティはない。同じ時間のループなら、「エイティミニッツ」の方が遥かにリアリティがあった。あれは確実に起きる列車事故を回避する為に何度も繰り返し事故直前の時間に戻される。時間の中を飛ばされるのは、ほとんど脳だけになっている戦士。向いに座った女を助けたい為に何度も挑み、ついにテロリストを見つけて事故を回避、元の時間に戻ることなく、そのまま女とその時間を生き続けるという、結末もちょっとファンタジーっぽくて良かった。それと比べるとナンと感情移入の出来ない、殺伐とした内容か。

CGで画面は壮大、「エイティミニッツ」の何倍もお金が掛かっているのでは。

でも感動と後味は「エイティ」の方が何倍も良い。

音楽、あれはもう効果音である。

ローリングで安っぽいロックが流れる。

監督 ダグ・リーマン  音楽 クリストフ・ベック