映画と映画の音楽  by  M・I

音楽を気にしながら映画を観る、そんな雑感

2015. 5 6「マジックインザムーンライト」シネリーブル池袋

2015. 5 6「マジックインザムーンライト」シネリーブル池袋

 

肩の力抜けて、W・アレンの人間賛歌。軽快洒脱。これまでの人生80年の経験知識の蓄積の上の、サラリとした上澄みエキスで語る、人生肯定の恋愛映画。もともとシャイな人、真正面から人間とは?なんぞと語ることはダサい、それにさらにさらに磨きが掛かった。たかだか数十年の人間の一生。その中で最高のものはやっぱり恋愛。そしてそれは不可解。理屈を超える。「ミッドナイトインパリ」の時空を超えた奔放さはないものの、通底するものは同じ。

天才マジシャンで超合理主義者と霊能女。合理主義者は暴こうとして超能力女に恋をしてしまう。実は超能力女にはタネがある。そのタネ明かしはちょっと単純過ぎる。しかしそれはどうでも良い。合理主義者が非合理な説明の出来ない恋をしてしまったのだ。合理主義者が非合理を認めた。人生最後は信じるか信じないか。

論理は非合理なものの上に成り立つ。1=1を信じて初めてすべての論理は組み立てられる「死霊」である。神は死んだけどやっぱり違った形でいるのだ。そんな小難しい理屈を軽妙洒脱な恋愛映画として提出する名人の域に達したW・アレンに乾杯。

音楽は相変わらずの既成曲。

監督 ウッディ・アレン  音楽 クレジット無し