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映画と映画の音楽  by  M・I

音楽を気にしながら映画を観る、そんな雑感

2015.9.30 「合葬」新宿ピカデリー 

2015.9.30 「合葬」新宿ピカデリー 

 

怪しげな映画だなと思っていた。多分スポンサー付だと思っていた。杉浦日向子の漫画が原作とのこと。脚本.渡辺あや、「ジョゼ~」の人だ。

幕末、彰義隊に入った若者3人の話。負けると分かっていながら参加し燃え尽きた幕末の青春、出来不出来はさておき勢いだけはある映画、と勝手に想像していた。

残念! ついに「天の茶助」を超える映画に出会ってしまった。「天の茶助」は酷い、が映画にはなっていた。「合葬」、これは映画にすらなっていない。監督、知らない人。実際の映画製作の経験のない者が突然監督をやらせてもらい、サイズもカット割りも分からないまま、作ってしまった「映画のような紙芝居」だ。役者は与えられた役割を一所懸命やっているが学芸会である。ほとんどを板付きで撮る。カットは割らない、割れない。普通サイズかアップ、アップのワンカットが意味なく長い。音楽は音楽以前。弦を張った楽器をいじっていてたまたま出た様な弾く音などを思わせぶりに付けている。楽音ではなく効果の単音。ギターを初めて手にした時、調弦も何も解らないままいじっているとシタールの様な音や三味線の様な音がして面白かった。それを使ってしまった、そんな感じ。

東京近郊の果樹園あたりで撮ったとしか思えない戦闘シーン、そこで主役の柳楽優弥はあっけなく死ぬ。そこにアクセントがあるわけでもない。最後に若者3人で撮った写真と、親の形見の小刀を売って女郎に金指あげたエピソード、これで涙腺は刺激されたか。

よくオダギリジョウが出た。オダギリさすが、こんな中でも存在感を示す。それがまた簡単に殺されるのだ。

この映画、全うな時代劇として観るか、体裁は時代劇ながら今風のものとして観るか、こちらの対応が定まらなかった。そして流れて来たナレーション、この声のトーン(何でカヒミカリイ?)、今風の延長で観ればよいのだと見始めるもオーソドックスな時代劇の体裁、時々台詞が今風、その内英語の歌まで入ってきた。

原作漫画未読。怪奇譚猟奇譚の散りばめられた漫画なのだろう。良く見りゃその痕跡はある。でもそれが学芸会じゃ話にならない。

シナリオに書かれた台詞をその通りに話し、それをそのまま撮影し、台詞の情報以上のものが伝わってこない映画。監督は素人ではないらしい。

監督 小林達夫  音楽 ASA-CHANG&巡礼