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映画と映画の音楽  by  M・I

音楽を気にしながら映画を観る、そんな雑感

2015.11.30「グラスホッパー」丸の内ピカデリー 

2015.11.30「グラスホッパー」丸の内ピカデリー 

 

ハロウィンの日、渋谷のスクランブル交差点で恋人(波留)が、秋葉原無差別殺人の様に突っ込んできた車に跳ねられ死ぬ。ひ弱な教師の男(生田斗真)が復讐を誓う。組織に潜り込む。色んな闇の住人たちが登場する。浅野忠信、山田涼介、村上淳、いずれもカッコイイ殺し屋、殺し方に美学を持つ。悪党の頭は石橋蓮司、手下に菜々緒。男はその中で右往左往する。全ては脱法ドラッグ闇市場を支配しようとする石橋の計画、そしてさらにその上に石橋らを一網打尽にしようとする得体の知れない組織(公安?)による綿密に仕組まれた筋書きだった。冒頭、カボチャの面をかぶって波留に近づいた子供も仕組まれたものだったのである。

成程、よくある話。浅野、山田、村上はスタイリッシュに熱演、特に村上は良い味。一方の石橋、ベッドに横たわって指示を出すこの親分をシリアスに捉えて良いのか、コメディとして捉えて良いのか、こちらの受け方のモードが決まらなかった。同様に菜々緒も。綺麗だが芝居は素人、明らかなコミカル狙いも芝居が芝居なのでそれに乗り切れない。

そして原作は解らないが、この映画に関しては、やっぱり話の底が浅い。それを映像で超えるのは難しい。その映像もアクションは良いが美術は安手、ロケも手近で済ませている感が漂う。その辺は「MOZU」とかなりの開きがある。製作費も随分違うのだろう。お金も知恵も足りなかったということである。

音楽は稲本響。瀧本監督とコンビの人である。この手のサスペンスアクション、大体ハンス・ジマー系に行くのが近年のお決まり。ところが音楽はベタ付きではなかった。そして弦カル、それにObが乗ったり、Agがメロを取ったり、Celoが2本(?)でリズムを刻んだり。上手く行っていればアクション映画の斬新な音楽となっていた。しかし映像に緊張感がないと面白い音楽を付けても浮くだけである。試みは面白かったのに。

村上が拘り続けるジャック・クリスピンというロッカー、原作者の伊坂幸太郎の作り出した架空のアーティスト、LPレコードを聴くシーン用にジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョンが楽曲を提供したのだそう。ならば村上が飛び降りて死ぬシーンをこの楽曲でベタに行くとかすれば良かったのに。そうでもしないと印象に残らず、勿体無い。曲の記憶が無いので見当違いを言っているとしたらお許しを。

瀧本、生田コンビとしては「脳男」の方がずっと良かった。生田はひ弱で情けない役をちゃんとやっている。吉岡秀隆はワンパターンながら他の誰にもない希薄な存在感が出て来た。

監督 瀧本智行  音楽 稲本響  主題歌 YUKI(印象残らず)