映画と映画の音楽  by  M・I

音楽を気にしながら映画を観る、そんな雑感

2017.09.15 CD 「ゴジラ伝説Ⅴ」

2017.09.15 CD「ゴジラ伝説Ⅴ」

 

1983年、アルバム「ゴジラ伝説」を制作した。プロデューサーは私と藤田純二氏 (当時はキングレコード、その後独立してユーメックスを起こす) 。プロデューサーと言ってもビジネス周りをやっただけで企画とサウンドプロデュースと演奏は井上誠がやっている。井上君はヒカシューのKeyboard、当時ヒカシュー巻上公一のVocalで“二十世紀の終わりに恋をしたら~”がヒットしてメジャーなバンドだった。

始まりは特撮オタクが持ってきた1本のカセットテープ、聴くと伊福部特撮映画音楽をSynで自宅録音したものだった。もちろん「ゴジラ」も入っている。面白いと思い、藤田さんに話をしてキングからのリリースを決めた。宅録をそのままレコード化は出来ないのでキングのスタジオで録り直すことになった。ヒカシューのメンバーを始め、ゲルニカ(上野耕路戸川純) やら何やら、連日井上君の仲間が入れ代わり立ち代わりしてレコーディングに加わった。精々一週間もあればと高をくくっていたのが一か月かかった。ローバジェット企画がそうではなくなってしまった。

ちなみにレコードはもちろんLPである。

有り難いことにそれなりに売れてキングに迷惑を掛けることにはならず、調子にノッて「ゴジラ伝説Ⅱ」「ゴジラ伝説Ⅲ」まで作り、今は無き渋谷東横ホールでライブまでやった。壊す直前だった。その後CDBOXとして3枚に何曲かの新録音を加えて「ゴジラ伝説Ⅳ」がリリースされた。その頃はもう僕や藤田さんの手から離れていた。

 

何年か前、渋谷クワトロで「ゴジラ伝説」ライブがあった。管3本、キーボード2、Dr、EG、EB、Vocal巻上公一 + チャラン・ポ・ランタンという編成。かつての「ゴジラ伝説」とは比べようもない狂乱の祝祭空間を現出させていた。メロディーをSynでなぞっていた頃から比べると、伊福部音楽への理解は比べようも無い深みに達していた。

 

本年4月、そのメンバーで何とNYライブを決行した。“ゴジラ”という追い風に乗って「ゴジ伝」ライブを彼の地でやってのけたのだ。あのトランスはニューヨーカーにも通じるはずだ。

レコーディングもしてきた。それが「ゴジラ伝説Ⅴ」として9/20キングレコードよりリリースされる。9/21には発売記念ライブが調布仙川劇場で行われる。

35年という時間を味わいに行こうと思う。