映画と映画の音楽  by  M・I

音楽を気にしながら映画を観る、そんな雑感

2011.1.17 「ばかもの」スバル座

2011.1.17 「ばかもの」スバル座 

 

原作・絲山秋子。スバル座へ飛び込む。頭チョイ欠け、タイトルの尻から。監督その他の予備知識なし。絲山原作らしく高崎が舞台。ヤルことしき頭にない大学生(成宮好演)が年上の彼女(内田有紀・綺麗)とやり狂い、突然棄てられ、社会人になるもはっきりしないまま酒に溺れ、いい年になっても親元モラトリアム。回りにはオウムもどきの宗教にハマル女、結婚して子供も作り社会にコミットした親友等。このバカ男、年上女を忘れられないまま、甘ちゃんアル中人生を続け、一念発起、入院してアル中直した頃、障害者となった年上女と再会、新たな人生のリスタート。

今、この映画を作る意図は何か。作る必要はあるのか。内田有紀は綺麗なプロポーションでヌードにはならないがエロい。片腕なくしても充分。綺麗過ぎないか。都会的過ぎないか。宗教にハマル中村ゆりも綺麗だ。白石美帆もあんな先生いたらたまらない。

音楽は安っぽいメロがやたらと繰り返し鳴る。いちいち押し付けがましく音楽付けなくてもよいのに。音楽でも付けないと持たないか。

バブルがはじけた頃の時代設定。おそらく原作はその時代の若者の内面気分を掬い取っているのでしょう。しかし残念ながら映画にはそれがない。ただのぐうたらダメ男の話で終っている。

 エンドロールクレジットに食い入る。それなりの人が関っている。音楽はMOKU。ジャズ系。絵面に合うウェットなメロを書いただけの映画音楽、これは映画音楽といえるのか。ちょっと哀しそうなシーンになると直ぐに音楽。アル中坊やが退院して家に戻った途端、癒し系M、ご両親が暖かく迎えることがドアを開けた途端に分かってしまう。せめて親の顔から入れば溜めも作れるのに。

この監督誰だ! タイアップで押し込んだエーベックスの主題歌、そこの作詞に金子修介、同姓同名の作詞家が居るんだ、と思った瞬間、下から上がった監督クレジットは金子修介

金子さん、何でこんな映画撮ったの? 少女趣味撮らせたら右に出るもの無しの人が、こんな甘ちゃんダメ男の話撮ってどうするの。こんな泣かせるだけの音楽ベタベタ付けてどうするの。ひたすら哀しくなる。

監督.金子修介 音楽.MOKU 主題歌「めぐり逢い」Shela