映画と映画の音楽  by  M・I

音楽を気にしながら映画を観る、そんな雑感

2016.1.21「の・ようなもの のようなもの」丸の内TOEI2

2016.1.21「の・ようなもの のようなもの」丸の内TOEI2

 

何年ぶりかで1日2本の映画にトライ。丸の内TOEIの上下、どちらも音楽が大島ミチル

まずは「の・ようなもの のようなもの」、森田芳光へのオマージュ。プロデューサーは三沢和子さん、監督は杉山泰一、長く森田組の助監督を勤めた人とのこと。

デビュー作「のようなもの」の何十年後。

先代師匠の追悼公演を一門がそろってやることになる。有力後援者 (三田佳子) が今は消息が分からない志ん魚の「金魚」が聴きたいという。そこで新入りの志ん田 (松山ケンイチ)が志ん魚捜しを命じられる。話自体は他愛もない。今の師匠は尾藤イサオ、幹部は、でんでん、野村宏伸。随所に森田組のお馴染みが顔を出す。師匠の娘は北川景子。志ん魚・伊藤克信、随分太った。志ん魚は高座で『黄金餅』をやり、志ん田は先代師匠の墓石の前で志ん魚から引き継いだ『金魚』をやって目出度し目出度し。下町人情喜劇である。

志ん魚捜しの過程で、鉄道オタクだった森田にちなんで、色んな鉄道や列車が出てくる。そこに大島はClaがメロを取る軽いジャズを付ける。明るくて軽快なメロ。音楽、前半は志ん魚捜しの鉄道絡みのシーンだけ。後半は一念発起して練習を始める志ん魚とそれを応援する志ん田の一連、志ん魚の『黄金餅』と墓前の志ん田の『金魚』の一連、これらをかなりの長さで括る。メロはClaからPf、Saxに変わる。後ろに小編成の弦も入る。入る箇所は少ないが、それぞれの尺は充分に歌える長さである。

話はこじんまりとしている。しかし狭っ苦しくない。開かれている。これは音楽に負うところ大。軽く軽快なジャズが広々とさせてくれる。ワンテーマ、肩の力を抜いて大島ミチル、爽快。

北川景子、下町の今風オキャンな役をちゃんとやっていた。着物姿も綺麗。ただし着付けが良くない。もっとちゃんと着るべし。そうすれば何年か後には”極妻”やれるんじゃない?

ローリングの尾藤イサオの主題歌、キーを下げた方が良かったのでは。あるいは大島テーマで賑やかにデキシ―なんてのもありだったか。

森田作品の後半は大島ミチルとのコンビだった。絵面にだけ合わせるメロ無し劇伴が主流になる中で、このコンビはメロを大切にした映画音楽をしっかりと守っていた。ただ最後の作品になってしまった「僕達急行 A列車で行こう」、あれは哀しかった。「家族ゲーム」の森田芳光とは思えなかった。この作品は森田監督作品ではないが、ようやくスッキリした気持ちになった。

監督 杉山泰一  音楽 大島ミチル  

主題歌 尾藤イサオ「シー・ユー・アゲイン雰囲気」