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映画と映画の音楽  by  M・I

音楽を気にしながら映画を観る、そんな雑感

2015.9.11 「ソ満国境15歳の夏」

邦画

2015.9.11 「ソ満国境15歳の夏」

 

茨城に大水害をもたらした台風が去り、久々の晴れ。10時半より頑張ってユーロスペース

上野耕路が音楽担当、今日は最終日、頑張って早起き、無事観た。

素朴な映画、技術的には幼い。しかし何とかこの事実を伝えたいという作り手側の思いがひしひしと伝わる。1945.8.9 ソ連参戦、満州ナントカ第一中学の生徒数十名が、勤労動員されていたソ満国境に取り残される。関東軍は先に逃げていた。育ちの良い、現実の戦争など知らずに育った15歳の少年たちが、機銃掃射をかいくぐり、中国岩枕屈? の村長に助けられ、何とか生還する。その実話を今の東日本大震災で仮設暮らしをする中学三年生、15歳の少年少女が現地へ行き、話を聞き、映画に纏めるというひと夏の物語である。

こんな事実があったことを知らなかった。事実が重い。8/15以降、外地に取り残された人々が如何に過酷な逃避行を強いられたか、子供を中国人に託した等、「大地の子」や残留孤児の話で知ってはいたが、実感は無かった。中学生たちに連れて行ってくれとすがる人々、あの1シーンは強烈だ。

少年たちの素人さにリアリティがある。朝鮮人ゆえに岩枕屈に残った少年の今を演じる田中泯の相変わらずの圧倒的存在感。除染ボランティア役で出ている夏八木勲、最期の姿。

「日本の一番長い日」を観ている限り想像もつかない、末端で翻弄される人々。

音楽、弦カル、木管、Pf (syn鍵盤)、の室内楽。時々パッフェルベルのカノンもどき。実に素直に当たり前に書いている。変に感情過多になることなく、一定の距離を取って淡々と当たり前に的確に、しっかりと書いている。感情に沿うと安っぽくなる。厳しい音楽を付けるとこの素朴さと合わずに浮く。当たり前の古典的ともいえる音楽がちょうど良かった。

いろんな映画があって良い。何より作り手が伝えたい映画。けっして独りよがりではなく、伝えることに意味のある映画。こういう作り手には頭が下がる。

監督 松島哲也  音楽 上野耕路