映画と映画の音楽  by  M・I

音楽を気にしながら映画を観る、そんな雑感

2017.02.06 「マグニフィセント セブン」 新宿ピカデリー

2017.02.06「マグニフィセント セブン」新宿ピカデリー

 

七人の侍」「荒野の七人」のリメイク。それにしても「マグニフィセント セブン」というそのままタイトルはいかがなものか。でも確かに上手いタイトルが浮かばないなぁ。

デンゼル・ワシントンが勘兵衛(志村喬)役、ゴロっとした鼻が志村喬に見えてくる。イーサン・ホークもイ・ヴョンホンも良い。イ、カッコ良くてびっくり。七人が人種の寄せ集めというところが今風、話を深くしている。アメリカはこの頃から色んな人種が集まっていたのだ。悪党は白人の成りあがり。俺は自分の手を汚してやる、ロックフェラーの様に自分の手を汚さずにやるのとは違う、という台詞が出てくる。ちょうどこの頃東部ではロックフェラーやカーネギーや、今のアメリカの財閥があくどい手を使って独占資本に成長するべく邁進していた頃だ。

話の骨格は「七人」と概ね同じ。盗賊は成り上がりの白人悪党になり、七人を集める様子は簡潔にされ、悪党との合戦が丁寧に描かれる。一人一人の見せ場を作って娯楽映画の大道。

音楽はちょっと付け過ぎ。無くて良いところまで付けているのだが、今時としては仕方ないか。それより何より「荒野の七人」エルマー・バーンスタインのあのテーマのリズムが随所に出てきて泣けてきた。テーマメロは出てこない、リズムだけである。パーカッションの叩きものでやっている。これが泣けるだけでなく効果的。他にも太鼓が後ろでずっと鳴っていたりして、こっちは「七人の侍」」の様。大編成のオケと打ち込みを両方使ってゴージャス。

CGなんかではない走る馬の列を長い移動で撮ったりしてこれぞ映画。拳銃さばきもナイフも、多分CGではない(?)、カッコイイ。これぞ血沸き肉躍る西部劇。

黒人もメキシカンも白人も東洋人も元南軍も元北軍もみんな一緒に戦って死んでいった。カッコよく死ぬことが男の美学だった時代の熱い映画である。

みんな拳銃さばきを練習したんだろうなぁ。馬の曲乗りもやったんだろうなぁ。

ローリングで「荒野」のテーマがリズムだけでなくメロもある大編成で流れた時は本当に涙が溢れた。「七人」と「荒野」をリスペクトしつつ、ちゃんと今の作品として作り上げた。喝采である。

 

監督 アントン・フークワ  音楽 ジェームズ・ホーナー、サイモン・フラグレン